top of page
検索

サワー種のリフレッシュ

  • 執筆者の写真: Shinji Hirose
    Shinji Hirose
  • 1月27日
  • 読了時間: 3分

サワー種、サワードウについてブログで何度か取り上げています。パン工房Hiroseではライ麦サワー種と小麦サワー種を開業以来8年間使ってきました。サワー種を使うパン生地には一部例外を除いて基本的に生イーストを加えずサワー種のみで発酵させます。


昨年2024年末”1-19 チャバタ”を焼いて異常に気付きました。

発酵不足で生地が”ういろう”状態になったのです。チャバタの生地には小麦サワー種を使いパン種を前日夜から一晩置き、当日粉と水を混ぜて1時間オートリーズ、その後パン種、塩、オリーブオイルを追加して生地が出来たら6時間発酵させ成形、二次発酵(30分)、焼成と長い時間かけてパンになります。長い時間かけて焼いて”ういろう”だとショックです。

原因は明らかにサワー種が弱っている、元気がないということです。


パン生地に使った余りが次のパン種を起こす際の”初種”になります。サワー種の種継ぎは 初種:小麦粉:水を1:1:1とします。時間をかけて起こす場合は1:5:5や1:10:10とする場合もあります。しかし初種が小麦粉より多いケースはありません。

種の中の乳酸菌や酵母菌はエサを食べて元気になるのでエサが少ない状態は元気になれと言っても無理ですね!

ところがこの当たり前のことをパン工房Hiroseではやってきています。例えば400gのサワー種があり次の日に必要な量が200gだとした場合400gの初種の中に100gの粉と100gの水を足して混ぜ一晩発酵させる。という具合です。

本来ならこの場合には400g残し200gを使うとすると600gになるから初種:小麦粉:水を200g:200g:200g とします。400gのサワー種は200gが使われ200gが残ります。

サワー種の残りはどうするのか?という問題が新たに出てきます。これを避けるためこれまでパン工房Hiroseでは”残りの出ない方法”でやってきましたがこれが徐々に菌たちを弱める結果になったようです。


弱ったサワー種を蘇らす、この方法がリフレッシュです。詳細な説明がこの本に書かれています。

「サワー種でパンを焼く」ルッツ・ガイスラー著 森本智子訳 翔雲社


この本の中にわかりやすい模式図が示されています。

横軸はPH値(右へ行くほど酸が弱い)縦軸は活性(高いほど元気)


1: 冷蔵庫から出した初種

2:初種に粉と水を混ぜると酸が弱くなり

3:熟成して活性化され

3a:続けてリフレッシュするとさらに活性化される

3b:さらに続けてリフレッシュするとさらに活性化される

1b:3bを冷蔵保存すると1週間程度で活性は落ちるが3より高いレベル


冷蔵庫から出した初種に粉と水を混ぜて熟成させ一部をパン種に使い残りを冷蔵保管する

といったサイクルを活性側に移動させることがリフレッシュです。図では3=>3aへの移動であり具体的には3から一部を初種として取り出し初種:粉:水を1:10:10で混ぜて熟成させます。さらにリフレッシュを続けると3bまで活性側に移動させることができます。

(熟成の条件は28~32℃ 5~10時間)


2025年仕事初めの前にこのリフレッシュをすることによってほぼ活性が回復されました。


リフレッシュしたり毎回の種継ぎをする際にこれまでと異なり大量のサワー種の残りがでます。これをどうするか?

この課題についても本で様々な提案が述べられており、その中から”イーストを使う生地に混ぜて香り付けをする”という案を採用させていただき、具体的にはブレートヒェンの生地に混ぜていこうと考えています。

 
 
 

Comments


bottom of page