パンの宅配便にはパンの品質上いくつかのデメリットがあります。外はカリッ、中はモチッっとした食感を持つ美味しいパンはプラスチックの袋に入れられお客さんに届くまでの約一日の間に変化してしまいます。
外はクリスピー中はモチモチのブレートヒェン(カイザー)の外皮は柔らかくなり、バゲットのカリッとした表皮もふわふわに。ブレッツェルの表面にまぶした岩塩は解けてしまって無残な顔になってしまいます。
焼成段階ではパンは外側から熱を受けるため外皮(クラスト)は水分が少なくカリッとし、内部(クラム)は水分が残りモチっとしています。しかし濃度が不均衡なため安定状態になろうと時間とともに水分は内側から外側へ移動します。その結果焼き上がりから約6時間経つと(時間はパンによって異なりますが)カリッとしてた外皮はふわっとしてしまいます。
デンプンと水を混ぜ加熱するとネバネバした状態になりますがこの糊化によってβデンプンがαデンプンに変わります(α化)このαデンプンはそのままの状態を保ってくれるといつまでも柔らかく美味しいパンのままなんですが放置しておくと水分を分離してまたβデンプンに戻ろうとします。これが老化(β化)です。0-3℃の温度域で老化が激しくー18℃以下で止まるそうです。
つまりパンの老化を阻止し内部の水分を保つ方法が冷凍です。工房の冷凍庫はー25℃を保っています。焼きあがったパンの粗熱が取れ水分移動が起きる前に、パンの老化が起きる前にー25℃の中で冷凍する!これをそのまま冷凍便で宅配する。これがパンを最も美味しい状態でお客様にお届けする方法です。
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