ブレッツェルの特徴の一つ、表面に付けた岩塩、これが”溶ける”問題について考えてみます。一般的なパン生地には粉に対して約2%の塩を入れますがブレッツェル生地には少な目の塩、約1.5%を混ぜ表面に岩塩を振りかけます。パン屋さんで売られているブレッツェルの場合、岩塩は溶けることはありません。ところがブレッツェルをプラスチックのパン袋に入れておくと岩塩が溶け始めます。山の中の小さなドイツパン工房Hiroseは通販を業態としておりブレッツェルはパン袋に入れて、さらにダンボール箱に入れて送るためこの”岩塩の溶け”問題は当初より課題でした。これは外気温が高い夏だけの問題ではなく冬も同様。解決策は冷凍便にするしかなく送料が高くなってしまいます。また店舗を持たないドイツパン工房Hiroseは月に一度イベント出店をしていますがこの際もブレッツェルはパン袋に入れられます。出店では冷凍にするわけにもいかずなみだを流したブレッツェルを購入いただくしかありません。
冷凍以外に方法はないか?暑いこの季節に確認しました。
準備したブレッツェルは3種類です。宅配便は一部地域を除き焼成後20-30時間後にお客様に届けられます。よって焼成後24時間岩塩の様子を観察しました。
① 岩塩のついたブレッツェル、パン袋に入れない (右側)
② 岩塩のついたブレッツェル、パン袋に入れる (中央)
➂ 岩塩をつけないブレッツェル、パン袋に入れる (左側)
①はドイツのパン屋さんで売られている状態、②は宅配便や出店の際の状態、➂の狙いは後述
➂ ② ① ➂ ② ①
②の岩塩は6時間後には溶け始め一晩おいた14時間後には形を留めている岩塩は僅かです。
さらに24時間後となると岩塩片は残っておらず悲しい姿になっています。(下図)
出店の際は焼いてからお客様に届くまでに5-9時間、宅配便がお客様に届くのは20-30時間後であることから特に宅配便には何らかの対策が必要です。
6時間後 14時間後
14時間後 18時間後 24時間後
対策を考える上でヒントになるのが”岩塩を付けない”という方法です。
焼成後18時間経った岩塩を付けないブレッツェル➂に刷毛で水をつけそこへ岩塩を振りかけ5分間200℃のオーブンに入れます。この結果岩塩片のついたブレッツェルが出来上がります。これを実際にブレッツェルを食べる工程で再現すると
オーブンを200℃に予熱、或いはトースターのスイッチを入れておきます。岩塩のついていないブレッツェルをパン袋から取り出し、表面に刷毛で水を湿らせます。そこに岩塩を振りかけオーブンで5分、(トースターの場合約3分)焼きます。この結果パンの表面に密着した岩塩のついたブレッツェルが焼きあがりました!
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ドイツパン工房Hiroseでは岩塩を袋に入れて添付するという作業が発生し、お客様はパンをトーストする前に岩塩を付ける作業が発生しますがいかがでしょうか?ニーズはあるでしょうか?
後付け岩塩試してみたいです。