2020年版の”日本人の食事摂取基準”(厚労省ワーキンググループ発行)によると男性では18歳以上で20-21g/日、女性では15歳以上で17-18g/日の食物繊維を摂取基準としています。100g食べた場合の食物繊維量は以下のようです。大麦10g、オーツ麦9.4g、ライ麦パン5.6g、ゴボウ5.7g、干しシイタケ41g、干しイチジク10.9g、いんげん豆19.3g、ゴマ12.6g、ひじき43.3g
食物繊維は炭水化物の一種ですが消化酵素によって分解されないため小腸を通り抜け大腸に至り大腸が従えるおよそ1000種類、100兆個とも言われる腸内細菌のエネルギー源となります。腸内細菌は人体とは別の生物でありながら大腸の免疫細胞などに働きかけ人体にとって極めて重要な役割を果たしていることが近年数多く報告されています。その一例は2017年にNHKスペシャルで放送されました。
日本人の食物繊維の摂取量は前述の基準値を満たしていないようです。厚労省の”令和元年国民健康・栄養調査報告”によると若年、中年層でおよそ3gほど足りていません。これは長い年月続いてきた和食からパン食を中心とした洋食化によるという意見があります。
パンを提供する立場としては食物繊維が豊富なパンを提供することが求められていると考え”大麦とオーツ麦の小型パン”の販売を始めました。
さて、腸内細菌がどんなことをしているか、NHKスペシャル から引用すると腸内細菌の一種クロストリジウム菌は水溶性食物繊維からエネルギーを得てメッセージ物質を出しTレグ細胞を生み出します。Tレグは免疫細部が興奮して暴走しているのを見つけるとメッセージ物質を出し 落ち着かせることによって暴走を沈めます。花粉症などのアレルギー疾患は免疫の暴走によるものでクロストリジウム菌によって症状が治まるということです。クロストリジウム菌には多くの種類があるようで特定の17種類がそろうとメッセージ物質が多く出るようです。この菌の餌が水溶性食物繊維です。その他長寿と関係する酪酸菌、脂肪の取り込みを防止するバクテロイド菌、いわゆる”やせ菌”など、調べれば調べるほど奥深くホットな情報にあふれています。
では”大麦とオーツ麦の小型パン”に含まれる食物繊維はどのくらいでしょうか?このパンの材料は多いものから、強力粉、ライ麦全粒粉、大麦、オーツ麦、小麦全粒粉、はちみつ、塩となります。パン1個当たり食物繊維6g、この内水溶性食物繊維1.8g、不溶性食物繊維4.2gです。さらに食物繊維以外の炭水化物、すなわち糖質はほとんど小腸内で消化酵素によって分解吸収されますが消化されないで大腸まで到達する糖質があります。これをレジスタントスターチと呼びますがライ麦にはこれが多く含まれています。レジスタントスターチも腸内細菌のエネルギー源となります。このパンを一日3個、各食事ごとに1個ずつ食べることによって女性の摂取目標18g/日が達成されます。さらにいんげん、ゴマ、ゴボウなどの水溶性食物繊維の豊富な食材を補えばより良い腸内環境を維持することができます。水溶性食物繊維は腸内細菌のエサに、不溶性食物繊維は水分を含んで膨潤し周辺の不要なものと一緒に便となりすっきりします。
(内容はネットの情報やNHKスペシャルから得た知識をまとめたものです。また数値はネット情報やそれを元に求めた計算値です)
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