今月に入って米粉パンを追求し始め一応の商品化の目途が立ちました。ここで整理しておきます。色々調べる中でパンの消費量が米を上回ったからか近年米粉パンの開発が盛んであることを感じました。グルテンフリーである米粉をパンにするにはグルテンの代わりをするものが必要です。発酵により生じた炭酸ガスをグルテンによって閉じ込めることによって膨らみをもたらしパンとして成立するわけですがグルテンを持たない米粉でパンを作る場合現在の市場では3種類の方法があります。
1.小麦グルテンを添加する 2.増粘剤を添加する 3.米粉だけで実現する
ホームベーカリー用の米粉パン専用米粉はほとんど1.か2.だと思います。しかし1.はグルテンフリー食品を求めるニーズに合わない、2.は添加物を好まない消費者がいる などの理由により3.が期待されています。特許として公開されていますがデンプンの損傷が少ない微細粉の米粉を使った米粉パン、米粉に米麹を入れて前発酵させたものを使って膨らみを実現した米粉パンなど
さて“地元坂内産の米を製粉して米粉パンを作りたい” をターゲットにあれこれ調査する中で「損傷デンプンの少ない微細な米粉じゃないと米粉パンはできない」という情報はショッキングでした。二段階で製粉したり酵素処理をしてデンプンが損傷しないように製粉するなど高価な設備を有する製粉メーカーにしかできないとなればどんな戦略をもってしてもターゲットの実現は無理です。
しかし某センターが特許として公開している”米麹を使って前発酵させる米粉パン”によって地元坂内産の米を自家製粉した米粉でも使えることが解ったのです。小麦の場合、麦粒を製粉して生じる損傷デンプンは小麦中のアミラーゼにより幾多のプロセスを経てブドウ糖に分解され酵母菌の餌になります。米粉にはアミラーゼが含まれていませんが米麹には含まれておりこれが損傷デンプンを分解してくれると考えられます。米粉に米麹を加えて発酵させる、すなわちこれは甘酒を作るプロセスと同じです。そこで甘酒メーカーを購入し55℃8時間で米粉甘酒を作る事にしました。麹にはアミラーゼだけではなくプロテアーゼというタンパク質分解酵素も含まれています。この点も小麦の場合と同じですね。プロテアーゼによって分解されたタンパク質は生地の粘度を増しパンの膨らみを増す働きがあるそうです。
というわけで米粉パン完成です。
材料は地元坂内産米、米麹、塩、生イーストのみ。最後に商品化のためにもう一つ課題があります。米粉100%は特許に抵触します。グルテンフリーの穀物粉かジャガイモ粉、或いは山芋粉などを少量混ぜないといけません。もしかしたら膨らみが増す材料があるかもしれません。これも地元産でトライします。
試作品は6月から提供します!!!