その2で計画した作戦は誤りでした。まず”米粉と米麹を30℃で…”という条件ではアミラーゼが働かずだめ。”ご飯を入れて膨らみを増す”と言うのもやってみたものの効果なし!
ということで作戦変更。
そもそも米麹は甘酒を作る際にご飯やおかゆと混ぜて55℃6時間以上発酵させることが知られています。この際米麹に含まれる酵素であるアミラーゼがデンプンをブドウ糖に分解し甘くなるわけですがこれが地元坂内産の米を自家製粉した米粉を使うことができる理由だと思うのです。
グルテンフリーパン専用の米粉は非常に微細でデンプン損傷の少ない粉であり、これが米粉パンの膨らみを増すと言われています。地元の米を電動石臼機で製粉したものは損傷デンプンが多いことが予想され、小麦グルテン又は増粘剤を添加しない限り膨らみの豊かな米粉パンを作ることは困難です。米麹はこの状況を救ってくれました。米麹に含まれるアミラーゼはデンプンをブドウ糖に分解しますが、製粉でできた損傷デンプンも分解されるはずです。アミラーゼは米粉には含まれていないため、まさに米麹は地元坂内の米を使用可能にしてくれた救世主なんです。
米麹にはタンパク質分解酵素プロテアーゼも含まれており、これが米粉のタンパク質を分解しそれによって生地の粘性を増しパンの膨らみを増す効果があるそうです。
さて、以上を考慮し商品化に向けた作戦とは。
材料:坂内産こしひかりを精米し自家製粉、米麹、
工程:米粉、米麹、水を混ぜて55℃で8時間
生イースト、塩、米粉を追加しミキシング、ホイロに1時間入れたのち焼成
右が上記条件で焼いた米粉パン(左は失敗作)
砂糖なしでも甘味があり、モチモチした米粉パンに仕上がりました。