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  • 執筆者の写真Shinji Hirose

パン研究者たちの講演


1週間前にパンシンポジウム2018が岐阜大学で催されました。パンの研究報告ということで興味を持って参加しましたが、大手のパン関連企業がサポーターとしてずらりといらっしゃり零細個人事業主としては多少の”居づらさ”を感じつつも興味深く拝聴しました。忘れないように以下に整理します。


ヨーロッパの現況:大手のパン工場の全自動・無人化により価格は大幅に下がりリテールベーカリーは縮小の危機。サワー種と小麦液種の混合システムやホイロ後の真空冷却システムなど味や食感を改善し低価格を提供する大手の中でリテールベーカリーが生き残るにはビオ(オーガニック)や原材料へのこだわりがキー!

=> 原材料へのこだわりはパン工房Hiroseの真骨頂、食事パンとしての食べ方を広めることが必要

湯種法:小麦粉に熱湯を加え、混ぜて糊化させたものを一晩置いて生地に混ぜる製パン法で甘みとモチモチ感が良いということで広く使われている。湯種にすることで”マルトース”の増加が甘みの要因らしい。

=> Hirose品番1-10 や 5-1 で実施しています。今後1-6にも反映予定です。

デンプンを形成するグルコース(単糖類)、二つ連なるとマルトース(二糖類)、三つでマルトトリオース(三糖類)、四つ連なるとデキストリン(四糖類)

デンプンをランダムに分解するα-アミラーゼは65~75℃で最も活性化しこの際はグルコースからデキストリンまで色々な糖ができます。一方端から二つ単位で分解するβ-アミラーゼは57~66℃で最も活性化します。二つ単位ということは生成されるのはマルトース!

Hiroseの勝手な仮説では熱湯を加えて糊化した小麦デンプンは温度を下げながらまずα-アミラーゼに分解され、さらにβ-アミラーゼに分解されマルトースが生成され甘みの元となる。生地の水分量は湯種を使わない生地に対し湯種中の水分が付加された量となりモチモチの生地になる。

プロテアーゼによる米粉パンの膨らみ改善:グルテンフリー米粉パン生地にプロテアーゼを加えるとタンパク質が分解され低分子化する。これが膨らみに寄与している。

=>Hiroseでは玄米粉パンを作る際に使う麹で経験しているが、低分子化されたタンパク質の生成と膨らみの改善の関係が未だ理解できていない!

色々勉強になったが、物質の組成、化合物や分解生成物、酵素などに着目するあまり酵素単体を食品添加物として添加したり分解生成物だけを利用したりなど”自然の原材料だけを使う”というHiroseの方針から離れた使い方をされる点は食品の世界ではあたりまえかもしれないが違和感をもってしまいます。しかし理論を理解することは重要なこと。今後も参加します。


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