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サワードウブレッドとイーストブレッド

  • 執筆者の写真: Shinji Hirose
    Shinji Hirose
  • 5 日前
  • 読了時間: 4分

パン生地にイーストを使うのは誰もが知るところですが、古代エジプト、古代ローマ時代から作られているサワードウブレッドが近年見直されています。イーストブレッドとサワードウブレッドとの対比を通じてイーストをどう使っていけばよいか考えてみます。


A.生地の発酵過程での酸性度比較


小麦全粒粉2/9、小麦強力粉7/9、水、サワー種、塩を混ぜたサワードウブレッドの生地と、

同量の小麦粉、水、塩、粉に対し1%の生イーストを混ぜたイーストブレッドの生地を準備しPH測定器で酸性度を測定しました。


横軸に材料を混ぜてからの時間、縦軸にPHを示します。水道の水のPHが7.0であることを確認し1時間毎の生地のPHを測定しました。イーストブレッドの生地のPHはミキシング後2時間程度は酸性側に下がりその後4.5から5.5の間に落ち着きます。

一方サワードウブレッドの生地のPHはミキシングから3.5前後まで下がりイーストブレッドの生地との大きな違いを示しています。この差は何でしょうか?

イーストは酵母菌、サワードウは酵母菌と乳酸菌からなります。乳酸菌と酵母菌は親和性が良くイーストにも乳酸菌が付いてきます。しかしサワードウの乳酸菌は圧倒的に量が多く乳酸菌が作り出した乳酸や酢酸によって生地の酸性度は強くなります。

乳酸菌はパンを焼く段階で死んでしまいますが生地の発酵段階で多くの有益なことをしてくれます。


B.乳酸菌の効果


その1. 消化がゆっくり(血糖値変化の観点から)

イーストを使う白いパンを食べると食後の血糖値が上がったり中性脂肪が増えたりします。血液検査をして中性脂肪の値が高いと「今朝パンを食べましたか?と医者に聞かれた」と聞いたことがありますがその根拠は、胚乳だけの粉から作られた白いパン生地はすぐにブドウ糖に分解され血液中に流れ込みます。高くなった血糖値を下げるため膵臓から大量のインスリンが分泌され血液中の糖を細胞に取り込み脂肪に変えます。余ったブドウ糖は肝臓に送られ中性脂肪に替えられ血液中に放出されるため中性脂肪の値が高くなります。

一方サワードウブレッドは乳酸菌によって作り出された乳酸の影響でデンプンを分解しにくくなりブドウ糖への変化がゆっくりとなり血糖値は上がりにくくなります。

また強い酸性の生地を焼いた際にデンプンの一部が「レジスタントスターチ」となり消化酵素では消化できない食物繊維に似た成分に変わります。

食物繊維の多い全粒粉が入ったサワードウブレッドはさらに消化がゆっくりとなり食後血糖値上昇を抑えることが理解できます。


その2. 消化が良い

発酵の時間が短いイーストブレッドは小麦のグルテンがそのままの形で残り、これが胃腸に負担をかけ食後の胃もたれの原因になります。

一方サワードウブレッドの場合、乳酸菌が発酵の過程でタンパク質分解酵素「プロテアーゼ」を活性化させます。このためタンパク質であるグルテンは分解されます。サワードウブレッドの発酵時間は長いのでグルテンは十分分解され、私たちが食べる段階ですでに消化されていることになり胃腸にかかる負担は少なくなります。

尚、グルテンが分解されるといってもグルテンフリーになるわけではなく成形や膨らみが確保できるだけのグルテンは必要です。


C.サワードウブレッドでのイーストの使い方

酸味がなくふわふわのイーストブレッドは美味しいしこれを否定する気はありません。しかし主食として頻繁に食べるものはその特徴を知ることが大切です。これまで述べたようにサワードウブレッドの利点は乳酸菌の存在です。しかしサワードウに元気がないと思い通りに膨らまなかったり時間がかかったりします。こんな時はイーストの力を借りることも重要です。パン工房Hiroseでは乳酸菌の利点を活用しつつ必要に応じて酵母菌を補充するという考え方で日々のパン作りをしています。







 
 
 

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